「いってらっしゃい。タッちゃん」
と言って、いつものように母親が背中に触れた。
ゾクっと寒気がした。
中学生の日下部龍樹は「愛情たっぷりの」「手作り弁当」や「手作りのお菓子」が次第に重くなってくる。
「タッちゃんは幼稚園に行くのも、ママと離れたくないって泣いてたのよ」
と、母はいつまでも嬉しそうに話す。
僕の記憶には無いのに。
母は専業主婦。家事や僕の子育てをしている。父には逆らわないけど、僕に父の悪口を言うから、母の本当の気持ちがどれなのかいつもわからない。
父はメーカーのマーケティングを担当してる。家では嬉しそうに職場の後輩の悪口を言い、威張っていて何もしない。
ある日、隣の席のマシロが自分で弁当を作っていることを教えてくれた。冷凍食品なら、朝詰めれば昼には解凍されるらしい。それなら僕にもできそうだ。と、弁当作りを始める。
母は、私の手作りのお弁当はイヤなの?
冷凍食品の方が美味しいっていうの?
お母さんをいじめて楽しいの?
といい、父に告げ口し、
男のくせに料理人にでもなるつもりか?
お母さんに世話をさせてやれ、と
父から怒られる。
僕ができるかぎり自分のことをしようとするのが、そんなにいけないことなのか??
男だから、女だからというジェンダーの疑問とか、
自立とか、依存とか。
いろんな言葉で語られる問題に
きちんと疑問を投げかけて
友達と考えたり
自分で放課後に図書館に行って考えたりする。
龍樹は、自分で考えて
その中で自分の選択をする。
こういう風に、しっかりと自分の中で答えを見つけるまで考えて
やってみて、うまく行かなかったら
また考えて
そうやって1人の人として自立していくんだね。
冷凍食品ばかりじゃなく
おかずを作ったり
惣菜の作り置きをしたり
龍樹なかなかやる子だわ!
- 感想投稿日 : 2023年3月25日
- 読了日 : 2023年3月25日
- 本棚登録日 : 2023年3月25日
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