あした、弁当を作る。

著者 :
  • 講談社 (2023年2月9日発売)
3.46
  • (7)
  • (26)
  • (16)
  • (7)
  • (3)
本棚登録 : 241
感想 : 37

「いってらっしゃい。タッちゃん」
と言って、いつものように母親が背中に触れた。
ゾクっと寒気がした。

中学生の日下部龍樹は「愛情たっぷりの」「手作り弁当」や「手作りのお菓子」が次第に重くなってくる。

「タッちゃんは幼稚園に行くのも、ママと離れたくないって泣いてたのよ」

と、母はいつまでも嬉しそうに話す。
僕の記憶には無いのに。

母は専業主婦。家事や僕の子育てをしている。父には逆らわないけど、僕に父の悪口を言うから、母の本当の気持ちがどれなのかいつもわからない。

父はメーカーのマーケティングを担当してる。家では嬉しそうに職場の後輩の悪口を言い、威張っていて何もしない。

ある日、隣の席のマシロが自分で弁当を作っていることを教えてくれた。冷凍食品なら、朝詰めれば昼には解凍されるらしい。それなら僕にもできそうだ。と、弁当作りを始める。

母は、私の手作りのお弁当はイヤなの?
冷凍食品の方が美味しいっていうの?
お母さんをいじめて楽しいの?
といい、父に告げ口し、
男のくせに料理人にでもなるつもりか?
お母さんに世話をさせてやれ、と
父から怒られる。

僕ができるかぎり自分のことをしようとするのが、そんなにいけないことなのか??

男だから、女だからというジェンダーの疑問とか、
自立とか、依存とか。
いろんな言葉で語られる問題に
きちんと疑問を投げかけて
友達と考えたり
自分で放課後に図書館に行って考えたりする。
龍樹は、自分で考えて
その中で自分の選択をする。

こういう風に、しっかりと自分の中で答えを見つけるまで考えて
やってみて、うまく行かなかったら
また考えて
そうやって1人の人として自立していくんだね。

冷凍食品ばかりじゃなく
おかずを作ったり
惣菜の作り置きをしたり
龍樹なかなかやる子だわ!



読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年3月25日
読了日 : 2023年3月25日
本棚登録日 : 2023年3月25日

みんなの感想をみる

コメント 1件

ゆーき本さんのコメント
2023/03/25

しらい弁当さん こんにちは◡̈*.。
子供のためにと思ってやっていることが、知らず知らずのうちに過保護になっていないか 考えさせられます。
てか、自分でお弁当作ってくれる息子なんて
羨ましすぎて 人に自慢したいくらいですけどね
(*'ヮ'*)♡

ツイートする