完成度の高さは感じますが、一種の気味悪さが残るのはなぜでしょう?
それが作者のねらいだとすれば、構成力に感心します。
冒頭から登場するピンクのウサギと青い子グマ。
悉く・恰も・纏る・齎す‥などの難漢字を多様する文章。主人公の“性癖”のおぞましさ。
あきらめずに読み進めていくと、かすかに希望の光が見えてきますが‥。受け入れがたい“性癖”に焦点を当てながら、しっかりと彼を非難してくれるIという女性を登場させた点は救い。
この性癖を正当化する作品が今までなかった点に置いて、その斬新さから芥川賞受章なのかもしれませんね。
ただ文壇でも巷でも注目されている作家だけに、作中にMDMA(合成麻薬)をディティールとして持ってくるのはどうかと‥。特に必要なかった気がします。
読書状況:読み終わった
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◇芥川賞受賞作&候補作
- 感想投稿日 : 2010年2月21日
- 読了日 : 2010年2月21日
- 本棚登録日 : 2010年2月21日
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