吉田茂と昭和史 (講談社現代新書)

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  • 講談社 (2009年6月18日発売)
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 吉田茂になんとなくひっかかって、職場の本屋の平積みから購入。

 井上氏の政治家の分析軸、横軸は経済軸で自由と統制、縦軸は、国際軸で協調と自立。

 吉田は、自由で協調。例えば、岸は、自立で統制(満州の革新官僚ですから)。

 最近の政治家では、小泉さんは、自由で協調。麻生さんも自由で協調。安倍さんは、自由で自立。

 そう思って分析してみると、民主党の総理は、どういう軸で分類されるのかはっきりしないな。鳩山さんは国際軸は自立で、経済軸は統制かな。菅さんは経済軸、国際軸とも不明。野田さんは、経済軸は自由か?

 要は、経済軸は、市場の自由を大事にするかどうか、国際軸は、日米安保を大事にするかの軸だから、政治家は誰でもはっきりしなければいけないと思うが、そこがあいまいになってきている、というか気色を明確にしないのが最近の政治スタイルのような気がする。

 その他、初めて学んだ点。

(1)国際連盟の脱退直前、イギリスは、日本とシナが直接交渉をするという妥協案を提示し、松岡氏も吉田氏もこれにのったが、外務省が反対した。(p99)

(2)吉田第二次内閣の組閣の際、占領軍民政局は吉田首班に反対したが、吉田がマッカーサーと直接会って話しをして、吉田首班を認めさせた。(pp195)

 いずれにしても、日本占領下での日本の政治家たちの、苦労には頭が下がる。主権を持たない国はいかに制約を受けるか。万が一、日本が、IMFの支援を受けることになれば、財政金融政策もIMFにお伺いを立てなければいけなくなる。

 その苦しさを知ることは、現時点での健全な国家運営のためにも必要だと思う。日本は絶対、ギリシアのようになってはならないと固く誓う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 政治学
感想投稿日 : 2011年12月24日
読了日 : 2011年12月24日
本棚登録日 : 2011年12月24日

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