この上のMC新書ではなくて、新刊の洋泉社歴史新書yで読んだ。
職場の本屋の棚から、網野さんの名前で買ってきた。
あとがきを読むと、素人には網野さんの本はよく売れているが、あまり歴史学では評価されていないらしい。
でも説得力がある。
たしか、内田樹さんが、レビストロースからの引用で、物の取引は集落の境界にものをおいて、となりの集落がそれを価値のあるものと理解して、別のものをおく、といった贈与のプロセスから始まったと書いていた。
それと似ているのだが、網野さんは、商売というのは、銭というのは一度神仏のものとなって、それが民に貸し付けされるという歴史を経ていて、そのため商品というのは、いわゆる異界との境界にいる人々と理解している。
最初の段落の説明はわかりにくいが、そもそも銭の前の米が貨幣として流通していたときには、稲穂を神仏におさめ、一度おかりして、それを耕作し、一定の利子をつけて神仏にお返しするという伝統があり、それが蓄積されて、流通の貨幣として使われたという分析が前提にある。
ここまでくると、前によんだ、市場はアジール(現世と異界との境界の空の間)という説明も理解できる。
なんか、ものごとをかなり根っこから説き起こして、説得力あるんだけど、歴史学的には問題あるのかな。
仕事に全然関係ないけど、おもしろい本。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
歴史
- 感想投稿日 : 2012年6月29日
- 読了日 : 2012年6月29日
- 本棚登録日 : 2012年6月29日
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