日本中世に何が起きたか: 都市と宗教と「資本主義」 (Modern Classics新書 2)

著者 :
  • 洋泉社 (2006年5月1日発売)
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本棚登録 : 57
感想 : 5
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 この上のMC新書ではなくて、新刊の洋泉社歴史新書yで読んだ。

 職場の本屋の棚から、網野さんの名前で買ってきた。

 あとがきを読むと、素人には網野さんの本はよく売れているが、あまり歴史学では評価されていないらしい。

 でも説得力がある。

 たしか、内田樹さんが、レビストロースからの引用で、物の取引は集落の境界にものをおいて、となりの集落がそれを価値のあるものと理解して、別のものをおく、といった贈与のプロセスから始まったと書いていた。

 それと似ているのだが、網野さんは、商売というのは、銭というのは一度神仏のものとなって、それが民に貸し付けされるという歴史を経ていて、そのため商品というのは、いわゆる異界との境界にいる人々と理解している。

 最初の段落の説明はわかりにくいが、そもそも銭の前の米が貨幣として流通していたときには、稲穂を神仏におさめ、一度おかりして、それを耕作し、一定の利子をつけて神仏にお返しするという伝統があり、それが蓄積されて、流通の貨幣として使われたという分析が前提にある。

 ここまでくると、前によんだ、市場はアジール(現世と異界との境界の空の間)という説明も理解できる。

 なんか、ものごとをかなり根っこから説き起こして、説得力あるんだけど、歴史学的には問題あるのかな。

 仕事に全然関係ないけど、おもしろい本。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史
感想投稿日 : 2012年6月29日
読了日 : 2012年6月29日
本棚登録日 : 2012年6月29日

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