- Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344983830
作品紹介・あらすじ
2015年衆議院予算委員会で三原じゅん子議員が「八紘一宇」ということばを口にした瞬間、部屋の空気が変わり、ざわついた。戦時中の日本の海外侵略を正当化する役割を果たしたと認識される一方で、宮沢賢治、石原莞爾、北一輝らを魅了した、日蓮主義者・田中智学のこのことばは、どういう意味そして経緯で戦前戦中の日本人を、天皇を中心とする熱狂に駆り立てたのか?そして戦後、八紘一宇はどう生き延び、日本に溶け込んでいったか?現代に連なる日本的精神を読み解く画期的論考。
感想・レビュー・書評
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2015年3月16日に三原じゅん子(元コアラの嫁)が衆議院で、戦時中に日本の海外進出を正当化する役割を果たした「八紘一宇」ということばを持ちだすという出来事あった。
この言葉について宗教学者の島田裕巳氏が解説した本。
軽い気持ちで読み始めたら、田中智学から日蓮主義、そして日蓮主義者であった宮沢賢治や満州事変の首謀者である石原莞爾へと話が進み、読むのをやめられなくなった。 そして血盟団事件や2.26事件などへも話は展開していく。
戦前の日本で日蓮主義がいかに力を持っていたかや、日蓮の教えを基礎として創価学会など、三原じゅん子はどこへやらで日本の近代史を学べてとても面白かった
。
創価学会のライバルであった霊友会のメンバーが新たに立ち上げたのが立正佼成会なのだとか、知らなかった事実も知る事ができた。
創価学会も立正佼成会もどちらも日蓮の教えの流れを汲んでいるので、現代の日本でも日蓮教えが受け継がれているという事になる。
ぼくは無宗教ですが、新宗教に興味がある方にもオススメしたい一冊です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
八紘一宇の言葉の元となった戦前の日蓮ブームを追う。
田中智学を起点とした日蓮ムーブメント。そこには宮沢賢治や石原莞爾など名だたる人々がいた。その頃の日蓮思想は天皇を中心とした世界統一を描いていて、それが神道や戦中の日本思想へとつながっていく。さらに戦後には創価学会などの新宗教となって社会にに影響を与えていく。
なぜこの思想が戦争へと突き進む日本の中心になったのかをもっと知りたかったが、この本の内容だけでもかなり貴重だ。 -
八紘一宇。なんとなく戦時中に国民意識を高揚させるために使われていた言葉だということは知っているけど、詳しいことは知らない。戦争を煽る言葉のようで、なんとなく口にすることも憚られる雰囲気がある。だから、書店でのこの本を目にしたとき、八紘一宇について知りたくてすぐに買った。
国会で三原じゅん子が八紘一宇発言をしたのは2015年の3月だ。麻生太郎財務大臣は、宮崎県にある八紘一宇の塔(現在は平和の塔)について言及した。実際に、そんな塔があるなんて知らなかったし、戦争肯定として捉えられるからPHもしていないんだろう。八紘一宇の塔は紀元2600年ということで、昭和15年に宮崎県知事の発意で完成したらしい。
では、八紘一宇という言葉はどこから来たのか。それは、田中智学が造語したらしい。田中智学は国柱会の設立者だ。そして、国柱会は時代を動かす思想的原動力のエンジンとなった。二・二六事件しかり、国体論しかり。また、その運動に関係した人は、石原莞爾であり、宮沢賢治であり、牧口常三郎という面々だ。少なからず現代にも影響を与えている。だからこそ、避けられる言葉なのかもしれない。
このあたりは、もう少し勉強したいなと思う。そのための入口本としてはいい本だと思った。 -
八紘一宇の意味は冒頭の説明で分かったが、それ以外の説明が長くてうんざりする内容になっているのが残念。