ターゲット・メディア主義―雑誌礼讃

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  • 宣伝会議 (2006年4月1日発売)
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感想 : 15
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これからますますニッチになっていく雑誌メディアが、どのように収益を上げていくのか、という視点がほとんどなかったのが残念です。
雑誌というメディアが、TVや新聞と比較すると“マス”ではない、というのは分かります。
そこから踏み込んで、「CanCam」や「JJ」はまだパイが大きかったけれど、「Cawaii」とか「SCawaii」とか「CUTiE」はそれよりもっとニッチなわけで、それは広告媒体としてどうなんだろうか?今、多くの雑誌は、雑誌販売よりも広告収入が、その収益の源です。そう考えていくと、著者のいうような、雑誌の明るい未来は私には見えません。

雑誌媒体、特にファッション誌については詳しすぎるほどの解説がありますが、ほかのジャンルの雑誌や今後(またはすでに)競合になるWebについての記載があまりにも少なく、拍子抜けしました。
著者によれば、ローティーンは、ファッションを選択する際に参考にするものとして、雑誌と口コミが圧倒的で、Webはまだまだそれに及ばない、と述べています。本当にそうでしょうか???
実際のところ、私にはローティーンの生態は分かりませんが、私は一つの情報を得るとき、まず手っ取り早いのはWebなので、インターネットから得る情報はとても有益に活用しています。そこから掘り下げて情報を知りたい、またはある著者の主張を参考にしたい、勉強したいというときには、雑誌ではなく書籍を探します。
雑誌媒体を解説した本としてはファッション誌についての言及に偏りすぎていないでしょうか?
パートワークのような、右肩下がりを前提とした、あたらしいターゲットメディアのビジネススキームについての記載も皆無でした。


また、各世代についての特徴があまりにも画一的すぎて少しげんなりです。

まあ、大手広告代理店出身の人の書いた、あるメディアを俯瞰した教科書、ということでしょう。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: ビジネス書
感想投稿日 : 2006年5月22日
本棚登録日 : 2006年5月22日

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