「こんなふうだからあたしは嫌われる。しかし、好かれたとしていったい何の得がある?ちょっとばかり居心地がよくなったからって、それで給料が上がるわけでもあるまいし。」
墨田翔子、37歳。独身。
大手音楽企業の企画部係長。
陰口も独りランチにも慣れた。
高学歴高プライド高自意識過剰の若手にうんざりしつつ、女子休憩室のマニキュア事件、トイレの生理用品の盗難、人気作家のイラストの裁断事件と悪意渦巻くオフィスで逞しく生きていく。
高学歴だけど常識がない神林。
オーストラリアのツアコン愛美。
ケアンズの浜辺で殴り合った嶺奈。
不遜な態度で口の減らない部下、八幡。
いろんな出会いがだんだんと翔子の気持ちをまあるくしていく。
女のイヤラシサがこれでもか!っていうくらい、いろんな形で出てきた。
それが暗くどんよりと濁らないのは翔子の底にある人の良さなのかも。
どんなに凹んでも立ち上がって顔を上げて笑い飛ばすような強さと。
「女らしいってことは、男の都合のいいように動く、男に逆らわないってことじゃないのよ。本物の女らしさってのは、女としてのプライドを簡単には譲らないことなのよ。
あたしにはあたしのプライドがあるの。そしてあたしは、それを守るためだったら、他のなんだって犠牲にするのよ」
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
楽
- 感想投稿日 : 2015年5月15日
- 読了日 : 2015年5月15日
- 本棚登録日 : 2015年4月28日
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