ソニー再生 変革を成し遂げた「異端のリーダーシップ」

著者 :
  • 日本経済新聞出版 (2021年7月13日発売)
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感想 : 140
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SONYの史実を知るにはこれ以上ない良本だが、ここから学びとして得られることは少ない、いわば自己啓発本としてはあまりお勧めされない。

ソニーを再生させた要因はいろいろあるが、冒頭にある『自信を喪失し、実力を発揮できなくなった社員たちの心の奥底を解き放ち、チームとして最大限引き出す』としていることが主として訴えられていた。章で言うと主に4章。

文才があるな、臨場感の伝え方がかなりうまいと感じる。
父の助言がかなり的を射てるので素晴らしい。こういう父親が良かった笑

全体的に読んだ感想で言うと、この人の功績か、、?と強く感じる。
帰国子女としてアメリカと日本を転々とする生活をし、ソニー(この頃はまだグループ会社)の上司の退任を機に上に上がった経歴を持つ著者。さまざまな商品を有するSONYのうち、プレイステーションを主戦場として持ち直した立役者。
文章を読む限りだと、なにが危機でどう脱したかがよくわからずさらっと書いてあるだけに留まっている。また、客観的に見て、この人の功績なのだろうか?
功績の布石を打った多くは先人たちだろう。この著者の話は、すごいベンチャーの創業者や起業家にある"仮説と検証"が圧倒的に少ない(というかほぼない)のがその証拠かもしれない。これらから、マーケターや技術者ではなく、マネージャーで上がった人と言える。
この本は、1人の史実をつらつら書いた本に留まってしまった。時代が良かったという文章が多く見られて残念だった。

ひとつだけあるとしたら、やはり混乱の中に解決すべきは現場なのだろう。現場の声を聞き、現場のテコ入れをしたからこそ為し得たのかもしれない。
後半においては選択と集中という、不採算事業を、けっこうメジャーで知名度のあるブランドも売っていたその勢いは良かった。メンタルの強さが窺える。

マーケティング用語で言う『プロダクトアウト』を全盛期から推進するソニーはまた輝くのだろうか。
また感動を届けられる日が来ることを祈りつつこの評価になる。

冒頭のはじめにに書いてあった内容はどちらかというとプレステ以降の話で、4章からの話が面白かった。

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感想投稿日 : 2021年9月26日
本棚登録日 : 2021年8月8日

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