氷かぐや編完結。かぐやと白銀の闇の部分を掘り下げた話でありシリアス色が強いが、合間に挟まるギャグがちょうどいい緩急を生み出してる。雑誌掲載時は賛否両論あったというが、一冊の単行本にまとまると読みやすい。
個人的にはかぐやと白銀の弱さが見れたのが嬉しかった。
タイプは違えど天才型と秀才型で完璧な二人。そんな二人もまた傷付きやすさや弱さ狡さを隠し持ち、相手にふさわしい人間になろうと虚勢を張っている。特に今巻明らかになる白銀の過去は意外。母親絡みのトラウマは根深そうだなあ……受験に成功した妹だけ連れて出て行ったとの事だが、現在同居してるのを見ると、圭だけ戻ってきたのだろうか。父親も前妻に気持ちを残してる描写があったし、今後正式に母親が登場して話に絡んでくるのが楽しみ。
ツンツン氷かぐやの素直になれないアピールも可愛かったが、病院とクリスマスパーティーのエピソードはきゅんとする。そしてヤブ医者、いい仕事してる……ラーメン四天王など魅力的なチョイ役も本作の魅力だが、まさか孫が翼だったとは!過ぎる17の呪いが危ぶまれる。
白銀曰く「イルミネーションの一つもない、全然ロマンチックじゃない」公園が、かぐやにとっては最高にロマンチックな場所だった。
沢山の風船が飛ぶ文化祭のキスは名シーンだが、肩肘張らない「普通」に憧れるかぐやは、白銀と一緒ならどこでもロマンチックな場所に早変わりする事に既に気付いている。幻滅されることに怯える気持ちはだれにでもある。好きな人なら尚更だ。その怯えを乗り越え、さらに歩み寄った二人の姿が尊い……。
1ページ丸々使ったキスのプロセスなど、エモさ爆発。
15巻かけてハイテンションな駆け引きを描いてきたからこそ、どちらからどうやってキスするか、このシンプルな条件だけでドキドキするドラマが生まれる。
白銀とかぐやの恋愛が一区切りする節目的な巻。
- 感想投稿日 : 2020年4月8日
- 読了日 : 2020年4月8日
- 本棚登録日 : 2020年4月8日
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