夏目アラタの結婚 (1) (ビッグコミックス)

著者 :
  • 小学館サービス (2019年11月29日発売)
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本棚登録 : 497
感想 : 16
5

幽麗塔といい第三のギデオンといい本作といい、引きと掴みが物凄い。
最後のページを読み終えた時「ここで切るの!?」「この後どうなるの!?」「早く続き読みたい!!」とジタバタする。
絵は文句なく美麗、登場人物は美男美女ぞろい。
主人公の夏目アラタ(30代独身)は児童相談所で働く熱血漢で、子供を虐待する親に掴みかかる正義感の持ち主。そんなちょっと無鉄砲でやさぐれたアラタが、以前関わった子供に頼まれ、服役中の死刑囚と交流を始めるのだが……
連続殺人鬼のヒロインは昨今珍しくないが、児童相談所の職員と死刑囚の面会からスタートする恋愛サスペンスという設定は斬新。
そこに「連続殺人鬼の犠牲になった、子供の父親の首をさがす」という目的が加わり、どこまで嘘で真実か分からないヒロインの妖しく美しい魅力と相俟って、ハラハラドキドキのスリルが持続する。
真珠の言動は二転三転し、アクリルガラス越しに彼女が見せる笑顔と涙がはたして素なのか演技なのかアラタと一緒に翻弄される快感。互いの裏をかこうと機転を駆使する、息詰まる心理劇にのめりこむ。
主人公のアラタも魅力的。
児童相談所の職員が主人公となると、どうしても虐待テーマの陰惨な話に繋がりがちだが、本作はエンタメに徹しており、悪ぶっていても基本善人、曲がったことは許さない気持ちいい奴として描かれるので好感が持てる。実際アラタみたいなヤツがいたら問題になりそうだがそこはフィクション、彼のキャラクターのおかげで後味の悪さから救われている。
ヒロインの真珠も魅力的。過去に虐待されていた事を匂わされているが、アラタとの出会いで変わっていくのか気になる。連続猟奇殺人を犯した罪で収監されているが、今後冤罪というどんでん返しもありえるかもしれず、リーダビリティ高い展開から目がはなせない。
個人的にはドラマ化してほしい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年1月16日
読了日 : 2020年1月16日
本棚登録日 : 2019年12月20日

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