魔入りました!入間くん 16 (16) (少年チャンピオン・コミックス)

著者 :
  • 秋田書店 (2020年4月8日発売)
4.24
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本棚登録 : 697
感想 : 5
4

アニメ二期も決定して絶好調な漫画の最新刊、収穫祭編完結。
誰が若王になるかはほぼ予想できてたのでその意味での驚きはないが、それでもしっかり盛り上げて感動させてくれる。やっぱり入間のブレない真っ直ぐさが素晴らしい。友達想いで仲間想い、みんなが大好きだからこそそのみんなの想いを背負って前に進む。そんな彼だからこそ、「絶望なんてしていられない」セリフが響く……。
収穫祭は二人一組のバディ戦でもあるのだが、その特性もちゃんと生かされていた。というか、早々に脱落したジャズとアロケルが裏で暗躍してたとは!!問題児クラスの団結力に気持ちよく一本とられる。
問題児クラスの一人一人がそれぞれの個性を生かして最大限の成果を上げ、そして正当に評価される。大団円といっていい結末に思わずにっこり。
さらに素晴らしいことに、この作品では蔑ろにされてるキャラクターが一人もいない。入間の対抗馬で万年二位のオロバスにも、ちゃんと救済が用意されている。ただ倒されるだけの悪役や貶められるだけの憎まれ役、いてもいなくてもどうでもいい脇役が存在しないので読後感が非常にいい。
おまけ漫画でのエイコの扱いが象徴的だが、キャラクター一人一人に対し作者の愛があふれている。同じチャンピオン連載作品の「吸血鬼すぐ死ぬ」でも同様の感想を抱いたが、使い捨てのキャラや穴埋めのモブという概念がなく、出てきたからにはちゃんと意味があり、相応の見せ場が用意されている。
だからこそ、安心して読める。
端っこにチラッと映っただけのキャラクターにも自然と愛着が湧き、このキャラが不幸せになることは絶対ないと、作者に対する信頼が培われる。
ちょっと本誌のネタバレになるが、問題児クラスからフェードアウトしてしまったかに見えたプルソン・トイ(おかっぱの男子生徒)だって音楽祭のキーパーソンとして関わってくるしスルーされてたのには不可抗力の理由があった。
今巻を読み、さらにその事実を知り、以前よりもっともっと入間くんが好きになった。

個人的に好きなのは141話、アリスママンのアムちゃんがハッスルする回。入間を諭す彼女の言葉には共感しかない……。

「トモダチって全部言わなきゃいけないものなの?」
「愛はね、お互いが幸せでないと成り立たないのよ」
「そんな苦しそうにして言わなくちゃなんて……そんな義務ないのよ。それともやっぱり秘密があったら あなたたちはトモダチじゃあないのかしら……?」

自分も前々から同じ事を思っていたので、全面的に支持したい。
友人や恋人、いくら親しい仲だって言いたくないことはある。
知られたくない過去や性癖、秘密がある。
友達だから、恋人だから全部を明かさなきゃいけないなんて義務はないし、そんなこと位で決裂するならその程度の関係なのだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年4月19日
読了日 : 2020年4月19日
本棚登録日 : 2020年4月19日

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