ラウィーニア (河出文庫 ル 2-5)

  • 河出書房新社 (2020年9月8日発売)
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感想 : 17
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語り手としてのラウィーニア、生きているラウィーニア。読者として物語に向き合ったが、両者は、一体化したり離れたりを(よく練られた語りに!)感じさせすぎることなく、ただ、「ひとり」の人間として在ったと思う。ときどき冷静な視点が内省するところは読者/わたしにも良い振り返りどきになったし、終わりの語り手としてだけのラウィーニアの出現にはどきりとした。それにしても、後代の詩人の登場と、それによって「未来を知っている」ためのラウィーニアの嘆きや恐怖、さらにはそれを超えたところで、自分が知っていることを利用できる強かさ、その描かれ方が素晴らしい。あくまで想像だけれど、「神」と向かい合う行為から、土と血と礼拝と地続きであることから、ラウィーニアの強さは醸成されていったのだろうと思う。
ひとつだけ、ちょっと眉が上がったのが、ラウィーニアが「男」と「女」について考えるところ。これはラウィーニアの考えで、グウィンの考えではないのかもしれないが、『闇の左手』を知っているだけにひっかかるものがあった。
あと、シィルウィウィスはかわいい!!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年1月20日
読了日 : 2023年1月20日
本棚登録日 : 2023年1月13日

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