引越しをテーマにした連作ホラー短編集。
コンビニにある実話系怪談雑誌に書いてありそうな話をふくらませて小説にした印象。
悪く言えばありがちな話だけど、ありがちさのディティールを積み重ねることによってリアルさがより増長され、夜中に読んだら非常に怖かったです。
ホラーテイストが強く、いつもの真梨幸子のイヤミス小説とはまた別の怖さに満ちています。
避難口(非常扉)に入ると中からは出られないとか、隣人の騒音を通報したら報復にあったとか、本当に経験するかも、と誰もが感じてしまう恐怖の煽りのテクニックが巧み。
登場人物たちは脈絡も無くいきなり(もしくはじわじわと)恐怖のどん底に落とされるのですが、「理由も無く」「避けられない」っていう点がほんと怖いんだよねえ。
ダイナミックやカタルシスを楽しむという観点からはほど遠い小説ですが、ちょこっと現実から逃避したい時にお勧めです。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2018年5月9日
- 読了日 : 2018年4月30日
- 本棚登録日 : 2018年4月27日
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