いっぽんの鉛筆のむこうに (たくさんのふしぎ傑作集)

著者 :
  • 福音館書店 (1989年2月15日発売)
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本棚登録 : 355
感想 : 26
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国語の教科書に載っていたことを思い出しながら読んだ。谷川俊太郎さんの文章だったんだな。とてもとても読みやすい文章。

小学生のころ、音読が苦手だった。先生がOKを出すまで一人ずつ起立して教科書を読み進める時間。変に意識してしまい、つっかえたり吃ってしまうことが何度もあった。苦手というより苦痛に近かったのかもしれない。

今でも繰り返し頭に蘇ってくる記憶。『いっぽんの鉛筆のむこうに』を音読していた自分。きこりのダン・ランドレスさんの名前をランドセルと読み間違えてしまった。先生は間違いに気がつかなかったのだろうか。誰にも指摘されないまま音読を進めた。
授業後の休み時間、「ねえ、さっきランドセルって読んでたよね」と言ってきたクラスメイト。誰も気づかなかった誤りに自分だけ気づけたと思っている、得意そうな顔。大人になった今でも、彼の顔が時折頭に浮かんでくる。わかっていた。自分の間違いは痛いくらいにわかっていた。くやしいような、恥ずかしい自分を見つけてもらえて安心したような、不思議な気分だった。

じめじめとした思い出話を書いてしまった。
教科書に掲載された文章には、人それぞれの思い入れがある。スリランカのボガラ鉱山で働くポディマハッタヤさんを訪ねて行く日本人が何人もいる、というネット記事を読んだ。すごい行動力だ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 谷川俊太郎
感想投稿日 : 2021年5月20日
読了日 : 2021年5月19日
本棚登録日 : 2021年5月19日

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