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夏。――眉彦は、信州の松本城で、初めて世古螢子に出会った。彼女は、強い陽刺しの中に黒々とそびえたつ大天守を、一人放心したように眺めていた。そして、二人の愛がしだいに深まったある日。螢子は、窓も何もない、真っ黒な城を描いた自分の絵を見せながら、おびえた顔でいった。「この絵のお城は、決して架空のものなんかじゃない。この世のどこかに実在するわ」――妖気漂う、オカルト・ロマン!
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カテゴリ:
幻想
- 感想投稿日 : 2009年2月28日
- 本棚登録日 : 2009年2月28日
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