アフターデジタル - オフラインのない時代に生き残る

  • 日経BP (2019年3月23日発売)
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本棚登録 : 4530
感想 : 406
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2年ちょっと前の刊行にもかかわらず、本著の考え方をちゃんと取り込んで実践できている企業は少ないのでは。非常に刺激を受けた1冊です。
☆4.5があればつけたいくらい。DX(デジタルトランスフォーメーション)という単語は本著では使われていませんが、内容的にはドンズバだと思います。デジタルを学ぶための良著です。

さて、本著は中国で日系企業のデジタル化を支援している藤井氏と、IT批評家の小原氏の共著。
主に中国で進んでいる社会システムの変化の事例を解説し、その裏にある考え方までを紐解き、新しい考え方の思考訓練と、日本企業においてどう取り込むかまで、短いページ数ながらフルコースで用意されていて、特に後半は結構歯ごたえがあって考えさせられます。
最先端の中国の事例と、中国企業がそう考えた背景を読むと、素直に「凄い…」と思わされるのと同時に、日本は大丈夫か?と焦りも感じます。コロナ禍はある意味デジタル化のチャンスだったと思うのですが、日本の社会はあまり変わっていない感もあり、どんどん差がついているのかも。。

言えるのは、企業と顧客の接する時間が、買う前~購入時のいっときではなく、買ったあとも含めて長期化しているということ。
(今までは物理的に無理だったコトが、デジタル化で簡単かつ低コストで実現できるようになったのは間違いないかと)
ただ、個人的には、中国企業がやっているオンラインマーケティングは、「すぐ売上が上がる」ものではないように見えるので、余裕があるからこそできるように思えます。
見えない未来を信じてサイコロを投げる行為は、(たとえ効果が出るにしても)定量的に予測不能なので、今のままの日本企業には意思決定できないんじゃないか。発想の転換が求められるんですが、それできるの?という印象を受けました。

これからの日本でも、デジタル化自体の流れは止まらないはず。どういう心持ちで取り組むかが大事だなと感じました。(日本ではどこかでデジタル化の揺り戻しもありそうですが、最終的にはデジタル化せざるを得ないはず)
おそらくはUIとかそういうものの先にある、デジタルに心地好く誘引する仕組みから考えないといけないと思うんですが…、骨が折れそうですね。でも、「その先にしか未来はない」くらいの気持ちで取り組まないといけないのかも。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ビジネス
感想投稿日 : 2021年5月16日
読了日 : 2021年5月16日
本棚登録日 : 2021年5月9日

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