奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家 木村秋則の記録 (幻冬舎文庫)

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  • 幻冬舎 (2011年4月12日発売)
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本棚登録 : 2307
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肥料不足がニュースになっている昨今、「農薬も肥料も使わないリンゴ」を作った農家、木村秋則さんの記録です。非常に読みやすく、2~3時間で読み終われるボリューム感ですが、考えさせられますね…。

まず、今我々が食べているリンゴは品種改良を重ねたもので、昔のリンゴとは別物だということ。その結果野生の力を失い、農薬に頼らないと実をつけられない弱い植物になってしまった…ということが説明されます。
その上で木村さんが無農薬に挑み、失敗を積み重ねていく…。正直、かなり闇雲なチャレンジにも思えたのですが、最後には正解を引き当て、今では色々な人から教えを乞われる存在になっています。

本著を読んで感じたのは「信念」です。
木村さんが一家で困窮してるのに、近所からもウザがられてるのに諦めず、リンゴについた虫を手で取りながら無農薬をやり続ける…。しまいには自殺しようと思って山の中へ行き、そこでソリューションに出会う。
ノンフィクション作家の手にかかった文章とは言え、まるで「死と復活」じゃないですか…。
世が世なら木村さんは教祖になってると思いますし、ネットで検索すると既にちょっとそんな雰囲気も感じるんですが、凄いものだと思います。

しかしこの手法、本著に書いてある事が全て本当なら、もっと広まっても良いように思います。
例えば「通常医療」と「代替医療」の対比よりも、「通常農法」「木村さんの農法」の方がローリスク・ハイリターンに思えてしまいます。
手間がかかるのか、単に知られていないのか、後者だったら勿体ないなぁと思う次第です。

そろそろリンゴの旬。1回くらい木村さんのリンゴを味わってみたいものです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 食べ物・料理
感想投稿日 : 2022年9月9日
読了日 : 2022年9月9日
本棚登録日 : 2022年8月26日

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