僕らはそれに抵抗できない 「依存症ビジネス」のつくられかた

  • ダイヤモンド社 (2019年7月11日発売)
3.83
  • (57)
  • (89)
  • (74)
  • (7)
  • (3)
本棚登録 : 1470
感想 : 96
4

良著ながらタイトルで損をしている本で、勿体ないと感じました。(原題もですが、邦題の方がより残念。)
行動経済学、マーケティング、心理学を専門とするニューヨーク大学の准教授による本著は、教育の本であり、仕事のアウトプットを高める本であり、水が高い所から低い所に流れるように怠けてしまう(私のような!)人間の性質を紐解き、「ではどうすれば良いのか?」という工夫にまで導いている本です。

本著を読むと、依存症は当事者の心の弱さのみが原因でなってしまうものではないのだと感じます。
古くはアルコールや薬物から始まり、直近ではソーシャルゲームやSNSに至る依存症の流れの中で、最近ではテクノロジーがそれを助長してしまっている。
更に、最近の「ちゃんと目標を立てて、それを達成する」的な風潮が、その達成感に依存する人を生み出してしまっているという点は、この問題が一筋縄でいかないことを示しています。
一方で、依存症に立ち向かうための解決策も3つ挙げられており、その中のゲーミフィケーションについては、優良事例だけではなく批判の声も整理されていて、仮に自分が取り入れるとしたら…?の思考実験にとても有用だなと感じました。

本著ではウェアラブルやVRといったテクノロジーを扱いつつ、フロー体験、こんまりメゾットなんかにも触れており、タイトルを見た時の退屈な印象ではなく、世の中の多様な最新事例をベースに組み立てられ(もちろん過去の事例も重要なものがちゃんと盛り込まれた)、体系的に整理されたわかりやすい本でした。
翻訳も非常に読みやすかったのですが、1か所だけ、「6桁の年収」はよくそのまま訳したなぁ…と。でも違和感を感じたのはそこくらいで、スムーズに読み進められました。

ただ、スマホ依存にも触れている本なのに、どうしても読書中にスマホ見たりしちゃうんだよなぁ…(笑
私自身の日々の暮らしにも、ゲーミフィケーションや行動アーキテクチャを取り入れる必要がありそうです。。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ビジネス
感想投稿日 : 2020年8月13日
読了日 : 2020年8月13日
本棚登録日 : 2020年8月9日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする