天路。天へと続く路(ティエン・ルー)を、ブルーバードとロンリープラネットで旅する巡礼の話。「かれ」が抱える「不在」が母の死だと分かるまで、物語の奥行きは砂嵐にまぎれて見えづらい。チベットの独特な文字と言葉に出会いながらルーツの複雑な主人公は、「やさしい真言」の詩のような響きに導かれて進み続ける。
世界には自分たちの言語に訳せない言葉がある。帰る場所なんて、遠くに行かなければ見つからない。この2年ほど忘れていた、異国での発見を思い出す、彷徨の読書。蓮華に入った宝石に敬礼。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年7月6日
- 読了日 : 2022年7月6日
- 本棚登録日 : 2022年7月6日
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