福島原発の闇 原発下請け労働者の現実

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  • 朝日新聞出版 (2011年8月19日発売)
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1979年、原発労働の実態を調査するために、実際に原発労働の現場に入り、労働者として働き、大怪我も経験した堀江邦夫氏の渾身の現場レポート。
そのレポートに鬼気迫る挿絵をつけて、堀江氏の経験をより具体的に目の前に描き出してくれたのが、やはり国のために辛酸を舐め、地獄から命からがら生還した反戦の巨匠 水木しげる。

東日本大震災で発生した原発事故は、決して不運な状態が重なって起きた、想定外の事故ではない。
原発というものは、本レポートが世に出た時点でも、すでに危険を糊塗し、国民を欺き、危険、事故を隠蔽し続けていた。
その真実を認め、安全神話から脱するべきだと私は思う。
ただ、NOという国民の声を完全に無視して、マスコミ、政治が主導する東京オリンピックの開催を嬉々として待つ愚かな国民が、原発を廃止できるとは、私には思えない。

事故が起きたらサヨウナラ。
自分が現場にいなかったら、私はそんなもの関係ないときっと思うよ。
負の現実、国民の痛みを切り捨ててきた歴史の上に、今の私たちの幸せはあるんだから。
被害の当事者にならなければ、関係ないと思う意識のおかげで。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2018年8月31日
読了日 : 2018年8月31日
本棚登録日 : 2018年8月31日

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