水中考古学 - クレオパトラ宮殿から元寇船、タイタニックまで (中公新書 2344)

  • 中央公論新社 (2015年10月22日発売)
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水中考古学とは、水面下の遺跡や沈没船を発掘、保存、調査する研究のこと。

水中考古学の父ジョージ・バス博士の下で水中考を学び、千葉県勝浦沖の米国蒸気船を引き揚げ、現在も研究を続ける研究者が書いた水中考古学の入門書。

本書で取り上げられている調査事例は13例あるが、うち12例が沈船に関するもの。ツタンカーメン王への献上品を積んだトルコ沖の沈船から発見された大量の献上品、東インド会社の沈船からは日本の陶器などが発見されている。また、福岡に沈む元寇船(元船)の錨と船の位置関係は、その船は南からの強い風(台風=神風)によって沈んでいることを裏付ける証拠となる。

沈船から貴重品を引き上げるサルベージに止まらない水中考古学は、学問領域としては比較的新しい分野だと思う。
また。保存状態によっては、地上の遺跡、墳墓などより良い状態で、歴史の証拠が残っていることもあるようだ。
水中での発掘作業は、活動時間の制約もあり、なかなか困難な現場だと思う。しかし、地球の表面の7割を占める海で活躍できる研究分野に、興味をもつ若い研究者が増えたら、さらに色々な発見などあるのかもしれないと、そんなことを思った。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史
感想投稿日 : 2016年1月28日
読了日 : 2016年1月28日
本棚登録日 : 2016年1月28日

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