小さい頃からわがまま放題に育った男が、昭和のテレビ業界で頭角を現し、世界的な音楽祭を立ち上げて大成功をおさめる。
TBSの名プロデューサー故渡辺正文の、命を燃やすような破天荒な生きざまは、実在の人物とは思えないほど烈しく、光り輝いている。そんな正文を取り巻く男も女も、なぜか熱い連中ばかり。音楽が好きで、女も好きで、自分の才覚と運だけを信じて、仲間と一緒に新しいテレビと音楽の時代を切り拓いていく姿はいやに眩しかった。
一方、名プロデューサーとして名を馳せながら「金を金とも思わない。会社を会社とも思わない。女を女とも思わない。人間を人間とも思わない。自分の人生を人生とも思わない」と酷評される面もあった。癌におかされた最後は、なんと関係を持った7人の女たちに見守られながら息をひきとっていく。
優しい平成の世では生き場所を見つけられない、熱い昭和の男だった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
文学・評論
- 感想投稿日 : 2010年10月27日
- 読了日 : 2010年10月27日
- 本棚登録日 : 2010年10月27日
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