亜鉛の少年たち アフガン帰還兵の証言 増補版

  • 岩波書店 (2022年6月28日発売)
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感想 : 39

あまりに重く辛く、読み始めたのを後悔しつつ、一気に読まないと読めないと思い、ほぼ一日で読んだ。裁判記録の途中で1日が終わり、もう少しで終わると言うのに、次がなかなか手に取れなかった。手を離すと辛くて重くて手に取れなくなる。でも間違いなく一気に読む本ではなく、誰かと語り合いながら少しずつ読みたい本であるのは「戦争は女の顔をしていない」と同様だ。
裁判記録まであるので、二重に考えさせられる。

今もウクライナやガザ等世界のあちこちで殺されたり殺したりの戦いが続いている。どうして人間は学ばないのか。「この本読めよ」と思う。
戦争で殺されたり殺したりする人は、みんな普通の庶民で、戦争を起こすことを決めた人たちではない。死んだり、手足をなくしたり、心を病んだり、息子を亡くしたりするのはみんな庶民だ。何ができるのか、下々の者たちは。
たまたま「今の日本は2年前のウクライナと同じ状況だ」と言う記事を読んだばかりで、恐ろしくなった。戦争の手前で、ずっと手前で止めなければいけない。そちらに進ませようとする政治を止めなければならない。戦争は始まる手前で止めるしかない。始まってしまえば、終わらせられないし、核兵器は絶対に使わせられない。泥沼に陥り、戦場に駆り出される庶民も、残された家族もみんな苦しむ。死ぬ。手足を失う。飢える。
大国の犠牲になどなりたくない。戦争を起こして喜ぶ人たちの犠牲にはなりたくない。平和な国で生まれて平和な国で死んでいきたい。ウクライナやロシアやイスラエルやパレスチナの人たちも本当はそのはずなのに、そうはなれない、そうも思えない状況に置かれているようで辛い。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年10月21日
読了日 : 2023年10月21日
本棚登録日 : 2023年10月21日

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