七十四秒の旋律と孤独 (創元日本SF叢書)

著者 :
  • 東京創元社 (2020年12月21日発売)
3.96
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本棚登録 : 216
感想 : 22
4

すばらしい

 久しぶりに4点つけたよ。物語がおもしろいかと問われると、実はそうでもなかったりする。

 ワクワクした点はいくつもある。ヒトつまり人類が自己修復機能によりどのように進化し、どこで袋小路に突き当たってしまったのかが明確だという点。人類が進化したにもかかわらず、クラーク流の生存本能なり闘争本能が全く衰えていないと表現される点。人類とマ·フつまり人類が創作したロボットとの戦いが明確には記されず、読者の想像に委ねられている点。

 そして、一番のワクワク感は、ロボットたちの視点で2万年のクロニクルが語られることだ。しかも、ロボットたちは三原則の縛りが極めて緩く、個性があり、思考ができる。

 さらには、永遠の命が両者ともに失われるエンディングでは、それぞれの新しい命の紡ぎ方が示される。ロボットの紡ぎ方はとても夢があるとともに、ぜひともその行く末を知りたいと思わせる。
(続編出ないかなぁ)

 野生動物との触れ合い部分は、芋虫も樹木も猫もあまりピンとくるものがなかったんだけど、74秒といい芋虫といい、エンディングにうまくつながる感じはするな。問題は冒頭の表題作のオチが私には全く響かなかったことかな。猫嫌いだからかな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: SF
感想投稿日 : 2022年3月13日
読了日 : 2022年3月13日
本棚登録日 : 2022年3月11日

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