後妻業

著者 :
  • 文藝春秋 (2014年8月29日発売)
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5

生き物は
どうしたって他者の命を奪って食わねば
生きてはいけぬものだけど、
同じ種同士の
食い合い(共食い)にはさすがに
(わっ…!)
と、目を覆いたくなってしまう。

同じ種族だからこそ生まれる
絆、愛情、信頼、尊厳…
なんてもんは命の前では取るに足りないものなのか。
そうなんだろうな。

ところで後妻業なんて職業(?)本当にあるのかな。
資産を持ってる老人を狙って後妻に入る。
で、その老人が死んだら遺産を相続する、なんてお仕事。
人を食いモンにして生きる様は、まさに共食いの様だった。

死んだ耕造の妻の座に収まっていた小夜子は
いわゆる後妻業のプロ。
耕造の世話や家事なぞ何一つしない事に
罪悪感など感じる様子も無く、
ただひたすらに
(はよ死ね。はよ死ね。)
と、金が手に入る事にしか興味の無い女。

人を食いモンにする彼女の姿は
目を覆いたくなる、というより
腹たって腹たってもうーしょうがないほどの毒婦として著者が描いてくれたから
耕造の死後、
正体を現した小夜子に2人の娘が突きつけた挑戦状には
(よ~しっ!!)と、思わず熱くなってしまったが、
その後、娘2人はほぼ登場せず。

法律を巧に利用し、
騙された方は泣き寝入りするしかなかった抜け目の無い悪事の牙城を崩壊できたのは、
やはりそれなりの人物。
私利私欲の為に悪に立ち向かって行くヒーロー、
なんて
キレイごとじゃあ片がつかない感じが、リアルで面白かった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2015年1月29日
読了日 : 2015年1月29日
本棚登録日 : 2015年1月29日

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