現代思想の名著30 (ちくま新書 1259)

著者 :
  • 筑摩書房 (2017年6月6日発売)
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感想 : 7
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表象文化論に至る現代思想の大きな流れ、すなわちソシュール、レヴィ=ストロース、フロイト、マルクスとそこから派生した思想の連なりがなんとなく分かる。
惜しむらくは紙数のなさと、分析哲学について触れられていない点。
30作品という制約の中、ソシュール、フロイトは直接触れられておらず、簡単に説明されるだけで、本書を読む上で基礎知識として持っておかねばならず、取り付きにくい。また、それぞれの著者についても思想の背景の説明で紙数が尽き、踏み込めていないものも見受けられる。故に表題は入門書のようであるが、そうではない。
さらに、ヴィトゲンシュタインも触れられておらず、分析哲学の系譜は無視されており、あとがきにある英米系哲学による蔑視への反論に至らない。
結果として、著者の意に反し、ソーカル事件に見られるような、大陸系の現代思想はただの言葉の戯れに過ぎないという認識が強化され、体系を理解することを目的とするオタク以外の人には読後虚無感が漂う一冊となっている。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2018年6月24日
読了日 : 2018年6月24日
本棚登録日 : 2018年6月24日

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