国際秩序 - 18世紀ヨーロッパから21世紀アジアへ (中公新書 2190)

著者 :
  • 中央公論新社 (2012年11月22日発売)
4.29
  • (49)
  • (43)
  • (14)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 691
感想 : 46
5

題の通り、本書はここ数世紀における国際秩序の過程を概観し、その歴史から得られる教訓を論じるものである。

かつての国際秩序はヨーロッパ中心に展開されていたが、20世紀頃から日本を始めたアジア諸国の地位が向上してきており、主たる舞台は「大西洋」から「太平洋」に移り変わってきていることがわかる。ただ、私は中東やアフリカ地域も重要な舞台だと思う。それらの地域におけるプレゼンスの確保には、中国政府も注力しているようにみえる。

著者は歴史的にみても、価値の共有は国際秩序の安定化に資すると述べる。欧米においてはそれが存在したため多様な枠組みが成立しているが、アジアではそうしたことはないのが現状である。東アジア諸国の間には、歴史観や政治体制の相違があるため、東アジアにおける価値の共有を通じた連帯は困難だとは思う。

中国の台頭によって太平洋が国際政治の舞台になったことで、必然的に日本もその舞台に立つことになった。

冷戦下における両陣営の間にも少なからず価値の共有があったことは意外だった。また、核戦力の存在があるからといって、軍事力の要素を度外視すべきではないことがわかった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年6月24日
読了日 : 2023年6月24日
本棚登録日 : 2022年12月22日

みんなの感想をみる

ツイートする