贅沢な骨 [DVD]

監督 : 行定勲 
出演 : 麻生久美子  つぐみ  永瀬正敏 
  • ケイエスエス
3.42
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本棚登録 : 495
感想 : 82
5

2001年公開。

一般的な評価は賛否あるけど、
日活ロマンポルノチックなけだるさと、
こだわりが見える映像美と、

全編に流れるフェティシズム、
切なく胸を締め付ける
息苦しいまでの
濃密な空気感がツボで、

個人的には
かなり好きな作品です。


一人の男が現れたことにより
変わっていく女二人の関係が
エロティックに
スタイリッシュに描かれています。


罪悪感やストレスから
喉に違和感を感じ、
金魚みたいに
口をパクパクやってる
麻生久美子の
エロいことエロいこと(笑)


不感症だから
体売っても平気だと
サキコを養い、

自分から新谷へ仕掛けておきながら
サキコへの嫉妬に苦しみ、

サキコを傷つけてしまう度に
呼吸ができなくなっていくミヤコが
愚かでいて
なんとも切ない。


そしてなんと言ってもこの作品に関しては
サキコを演じた
つぐみに尽きます!

園子温監督の傑作
「紀子の食卓」でも思ったけど、
全く違う役に生まれ変わる
「なりきり力」と、
主演を喰ってしまう存在感は
ほんとスゴい。



ジューサーの中の3匹の金魚は
表向きはオシャレだけど、

スイッチひとつで刃が回転し
粉々になってしまう、
まさに登場人物3人の
危うい関係を表していて、
緊張感を煽る演出にも
一役買っていたように思います。



人はいつか死ぬ。

別れは突然にやってくる。

だから大事な言葉は声に出して
伝え続けなきゃ、

大切な者の言葉を聞き逃さないよう
耳を傾ける努力をしなきゃ。

永遠に続くものなんて
何ひとつないんやから。



人混みの中、
新谷さんが幻聴に呼ばれて
手を上げるラスト間際のシーンは
名シーンですね。

手を挙げる仕草だけで
一瞬にして人を引きつけられるのは
永瀬正敏だからこそだと思う。



観る者に答えをゆだねた作りなので、
鑑賞後は
誰もが「なぜの嵐」に襲われます。


唐突に終わるラストシーン。

答えは風の中だけど、
サキコはすべてを理解したように
自分には見えました。


麻生さんとつぐみのエロティックな魅力満載の

弱い人間のためにある映画であり、

居場所のない人たちのために
寄り添う作品です。


意外と中毒性ありますよ☆

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 映画
感想投稿日 : 2012年12月7日
読了日 : 2012年12月7日
本棚登録日 : 2012年12月7日

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