久々の新作。めちゃくちゃ虐待されて生きてきたメガネっ子が主人公です。
一見薄幸の受の典型のような仁可ですが、子供っぽい風貌からは想像できないほど内に強さを秘めていて、他の軟弱な受とは一線を画していて新鮮でした。
虐待される日々から逃れ、男を乗り換えながら自由を手に入れていく様子はびっちそのもの。でも、そんな仁可の奔放さが無理してるようで痛々しくて、彼の行く末が気になって仕方なくなってしまうんです。
すがれるものにはすがらないと生きていけないという逞しさが、仁可を魔性っぽく見せてるだけなんでしょうね。
真性びっちじゃないとわかるから、幸せになってほしいって心底思える受です。
登場する男たちは養父以外は全員やさしくていい人達ばかりでした。それぞれに裕福で社会的地位もあり強い男なんだけど、反面ひどく弱くて脆いところもあるし、精神的にも金銭的にも仁可の支えになっていました。
当て馬との濃厚ベッドシーンばかりで、本命がなかなか絡んでこないのが斬新すぎでしたw
すごいキラッキラの王子系のステキな陽射の出番が少なくて、いつ絡んでくるのかと心配してしまいました…
まあ、原因は仁可ですよね…
見てくれはお子ちゃまでかわいい仁可ですが、プライドは相当高いです。陽射だけには自分の汚れたところや弱さは見せたくないので、無理して彼と距離をおいているのだと感じられて切なかったです。
互いに気になっていたのに、両想いになるまでの年月がかかり過ぎてしまった二人。
ちゃんと結ばれることができて安堵しました。
ちょっと古風な独特の言い回しと文学的な文章で、下世話なエロスも高尚な風味になってるのが何ともいいです。
- 感想投稿日 : 2014年10月30日
- 読了日 : 2014年10月30日
- 本棚登録日 : 2014年10月30日
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