「朝ごはんはまだか」
「おじいちゃん朝ごはんはさっき食べたでしょ」
このとき''おじいちゃん''は頭のなかで何を考えているのだろうか。
本書の中の一遍、『霞の中の終章』は痴呆の進んだ老人の一人称視点である。
朝ごはんを食べたことだけでなく、次第に考えたことや忘れたことを忘れていく様が描写されている。
認知症の症状を疑似体験しているかのような文章に、認知症は自覚出来ないところが恐ろしいなと思った。
この終末期の記憶が失われては蘇り、再び消えていく様子が、切れかけた蛍光灯と重ねられているのが好きな表現だ。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2021年5月28日
- 読了日 : 2021年5月28日
- 本棚登録日 : 2021年5月28日
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