国語入試問題必勝法 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (1990年10月8日発売)
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本棚登録 : 1373
感想 : 141
3

「朝ごはんはまだか」
「おじいちゃん朝ごはんはさっき食べたでしょ」
このとき''おじいちゃん''は頭のなかで何を考えているのだろうか。

本書の中の一遍、『霞の中の終章』は痴呆の進んだ老人の一人称視点である。
朝ごはんを食べたことだけでなく、次第に考えたことや忘れたことを忘れていく様が描写されている。
認知症の症状を疑似体験しているかのような文章に、認知症は自覚出来ないところが恐ろしいなと思った。

この終末期の記憶が失われては蘇り、再び消えていく様子が、切れかけた蛍光灯と重ねられているのが好きな表現だ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年5月28日
読了日 : 2021年5月28日
本棚登録日 : 2021年5月28日

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