なんてったって、そう、タイトルがいい。嫌が応にもわくわくする。ラベルのない缶詰。中身は何なのか。そもそも開けるのか開けないのか。ファンタジーなのかミステリーなのか人間ドラマなのか。ぽんぽん疑問が浮かぶ。
文庫本の厚さや文字の大きさ、表紙からだけではちょっとターゲットが分かりにくいのだけど、内容としては割とお子様向け。ただ、興味深いのは、お子様向け、なんだけれども事件の展開は割ときちんとサイコスリラー風、というところ。いくつか開けてみることになる缶詰があるのだけど、そこから出てきたモノもモノだし、そこから導き出された事件も事件だ。
ただ、全体として、無理矢理子どもからの視点を作っているきらいがあるというか、「いやーいくら子どもでもそんなことにはならないでしょう」みたいな突っ込みどころが散見されるのも事実で、「いつだってそうだ。大人は子どもの意見なんてまともに聞いちゃくれない!」みたいな描写が目立ってちょっとイライラする。内容を分かりやすくするために作者がわざとやってるのかもしれないけど。結局その「大人が信用してくれない」ってところから最後のクライマックスが展開されていくのだけど、「そこまで大人バカじゃないし!」とどうしても突っ込んでしまう。
ので。
あたたかーく寛大な心で、ゆったり楽しめる人には、短時間で読み切れて、それなりに起承転結はあって、ミステリーの要素もあって、気分転換にもなってなかなか悪くない作品。
私は、もうちょっと昔に読めてたら別だったかもしれないけど、今はあんまり入り込めなかったなー。「子ども対大人」みたいな構図や展開がいまひとつしっくりこなかった。ただ、缶詰の中身が分からないってのは、想像しただけでワクワクする。日本だったらラベルのない缶詰なんて特売でも売りに出さないと思うけど、外国ならまぁありそうね。
- 感想投稿日 : 2015年8月2日
- 読了日 : 2015年8月2日
- 本棚登録日 : 2015年8月2日
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