ここまで、重く苦しく面白いストーリーが書けるのか。
こんなに重厚なテーマを、ここまで上手く料理できるのか。
これほどまで、巧みに伏線を張り巡らせることができるのか。
こんなに面白い漫画が、存在するのか。
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進撃の巨人はどの巻を読んでも常に面白い。
物語序盤の「巨人vs壁内人類」だけでも相当な完成度である。絶望的な世界の中で自由のために進み続けるキャラクター達、印象的でアツいストーリー展開、無常すぎる死生観と巨人との戦い。この部分で終わったとしても屈指の名作という評価が下ったに違いない。
しかし、進撃の巨人は、巨人との戦いが終わったあとにさらに面白さが加速していく。
巨人を追い払い、地下室の秘密を解き明かし、壁の外の世界を知ったとき、今までの常識が全て反転していく。
進撃の巨人の本番は「壁から出た後」だ。
今までの世界が全て変わり、自分たちが置かれた立場が真逆に反転したとき、エレン達は残酷すぎる選択に迫られる。
無数の心臓を捧げて得た「自由」とは何だったのか。
壁の外にあったのは希望だったのか、それとも新たな絶望だったのか。
そして、戦い続けた先に何が待っているのか?
エレンが抱いてきた自由への渇望や、敵である巨人たちの行動全てが伏線となって畳みかけて来るのだ。
キャラの魅力、ストーリーの構成、幾重にも張り巡らされた伏線の数々、そして漫画の枠を超えたテーマ性。
自由と戦争、人種差別、反出生主義、ホロコーストなど、現代社会にも通ずる重厚なテーマを、「漫画」という大衆娯楽の形にまとめあげてしまった。作者の諌山氏は稀代の天才か、それとも地獄から生まれた悪魔か。
ぜひ、読んで欲しい。全ての読書好きに。本当に、本当に、本当に読んで欲しい。
歴史に名を刻む作品が、今、完結したのだ。
- 感想投稿日 : 2021年4月9日
- 読了日 : 2021年4月9日
- 本棚登録日 : 2021年4月9日
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