阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし (幻冬舎文庫)

  • 幻冬舎 (2020年2月6日発売)
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【感想】
私は本を読み終わった今でも、どっちがミホさんでどっちがエリコさんかわからない。そのぐらい非常に似ているのが阿佐ヶ谷姉妹だ。
しかし、それほどに見た目が似ている2人でも、性格は全く違うらしい。ミホさん(妹)はどちらかというと猫タイプで、自分のテリトリーに誰かが侵入するのを好まない。対してエリコさん(姉)は犬タイプ。誰かと一緒にいるとつい嬉しくなってしまうらしい。
この違いから、ふたり暮らしのストレスはミホさんに大きくかかっている。一緒にいすぎると、「ああ、お姉さんが多いわ~『エリコ過多』だわ~」 と堂々とつぶやき、ひとりになりたいアピールをする。そんなこともあり、お互いがお互いに点数をつける場面では、エリコ→ミホが97点、ミホ→エリコが53点という有様だ。

意外とデコボコな二人だが、そんな関係でもずっと一つ屋根の下で暮らし続けられたのは、「お好きにどうぞ」の関係性が成り立っているからだと思う。寝るスペースを圧迫されても「お好きにどうぞ」、西友とヨーカドーに別々に行っても「お好きにどうぞ」。どちらも好き勝手暮らすが、守るべき領域は守り、決してその先までは踏み込まない。お互いの距離感を言わずとも把握し、融け合うように生活している。そんな熟年夫婦のような関係性をキープできるのが、仲良くやっていく秘訣なのかと感じた。

――しばらく、みほめ~あの冷血人間め~なんてカリカリしていましたが、こう考え始めました。「私だったら、持ってくるけど」という考え方が違っているのかしら。私がそうしているから、あちらにもそうしてもらえるものだと思っている所から、ものさしが狂い始めるのかも、と。
実際夫婦でも家族でもない2人が、たまたま生活様式を共にしているだけで、本来は個個。むしろ、私がみほさんにしている事は、頼まれてやっている事でもなく、こちらがよしとしてやっている事なのだから、それを相手に勝手に求めて勝手に腹を立てたりするのは、変な話で。やってもらう事は「必須」でなく「サービス」なのだ。そう思うと、落ち着いてきました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年9月26日
読了日 : 2022年9月23日
本棚登録日 : 2022年9月23日

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