カタツムリが食べる音

  • 飛鳥新社 (2014年2月25日発売)
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本棚登録 : 107
感想 : 21
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カタツムリの専門家が書いた本だな、食べる音ってどんなだろうと軽い気持ちで読み始めたが、すぐに引き込まれた。
著者は元々カタツムリに関心があったわけではなく、難病でほぼ寝たきりの生活をしていた時に、友人が何となく家の近くで見つけたカタツムリを鉢植えに乗せて置いて行ったのだった。
本を読むことさえしんどい中で、カタツムリを見守ることが著者の日々の生きがいになる。
その生活を綴る文章がとても良い。
詳細な観察と、後にカタツムリについて深く学んだ知識から語られる、情に溢れたカタツムリの生態。
正直、カタツムリに興味のなかった私も、近所で観察できないか探しに行きたくなるほどだった。
同時に、社会から切り離された状態で、生きるということを突きつめざるを得なかった著者の、表面上は静かな、けれどとても苦しく激しい戦いにも胸を打たれた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年8月4日
読了日 : 2020年8月4日
本棚登録日 : 2020年7月29日

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