RAIL WARS!―日本國有鉄道公安隊 (創芸社クリア文庫)

著者 :
  • 創藝社 (2012年1月16日発売)
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感想 : 38

「電車内で痴漢が逃走したらどうする?」「もちろん射殺する!」
紹介文のこの一節だけで吹いた。ありそうでなかった⁉「鉄道系ラノベ」。作者さんは「電車でGo!」の広報をしてた方だそうな。国鉄が分割民営化されずに現代になったら?というif設定もさることながら、そこで鉄道公安官という目の付け所は流石というか何というか。必然、鉄道の世界を舞台にしながらも、ノリとしては警察ものに近い。更に言うなら凄く「パトレイバー」な雰囲気である。ほんわかしてそうで実は鋭い上司、ってまるで後藤隊長だなぁ…。主人公たちメインキャラ4人も、さしずめ遊馬、進士さん、太田さん、香貫花、という役どころか。「問題児揃い⁉の半人前のチームで事件解決」という辺りも近いものを感じる。
キャラの描かれ方としては、割にお約束というかテンプレの域を出ない感じではあるが、鉄ちゃんならその辺が瑣末なことに思えるくらい、この「國鉄」の世界観にニヤニヤしてしまうのでは。バリバリ活躍する国鉄型車両(まさかのEH10!)、鋼製車体の「233系」(作者さんも209系以降の走るンですシリーズはお嫌いなようだ)、EF66の正統進化形⁉「EF68」とか、車両だけでもニヤニヤが止まらん(笑)。巨大組織「國鉄」の現状とか過激派との対立だのまでネタが及び、国鉄民営化とかJR(主に東日本)への壮大な皮肉にすら見えてきて、少々違う意味でも笑えてくる。バーニア600氏のイラストも、細部に至るまでツボを押さえていて良い感じ。
これはかなり「鉄ヲタホイホイ」な怪作。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2012年1月23日
読了日 : 2012年1月23日
本棚登録日 : 2012年1月22日

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