今まで、全部ではないけど10作ほど堀江氏の著作を読んだ中で・・・いちばん好きかも。「なずな」も好きだけど。話の骨格がはっきりしていて読みやすいというのもある。
一枚の絵葉書から、過去を探る旅と、現存するゆかりの物を探す旅が始まる。けして急がず、なんなら見つからなくても仕方がないというくらいの、ゆるやかな旅だ。
しかし巡り合った人々に少しずつ声をかけ、出向く労も惜しまずに「私」が行動することで、矩形の詩を書いたアンドレ・Lなる人物に一歩一歩、近づいていく。歩を進めるごとに立ち現れてくる過去を、一緒になって知りたいと思いつい前のめりになる。
現実にはなかなか起こりそうにないこんな展開が魅力的なのはやはり文体、選ばれた言葉の響きによるものだろうか。あと、フランスという知らない土地であること。異国での旅というだけで、物語感を楽しめる。 シンプルな表紙もすてき。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
海外舞台
- 感想投稿日 : 2020年11月10日
- 読了日 : 2018年11月30日
- 本棚登録日 : 2018年8月19日
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