神奈川の土橋に伝わる「オイヌさまのお札」。その意味と起源に迫るために、自らも土橋出身の著者がオイヌさまの周辺を丹念にたどります。
オイヌさま=絶滅したニホンオオカミ、御嶽講、土橋の農家の人々の暮らしぶり、などなど題材はとても好みでしたが、文章がちょっと読みづらくて残念。もとがドキュメンタリー映画がそうなので、映像で見たらもっと違う印象なのかも。映画と本はやっぱり違うんだなあ…
オイヌさま以外のテーマが全体を通してたくさんちりばめられている。それがオイヌさまの理解をさらに深めればいいのだろうけど、どちらかというと話があちこちにとんでしまってわかりにくい印象。どのテーマもオイヌさまと関連があることはわかるのですが、それぞれの掘り下げ方が浅いので、おもしろさを感じる前に話が終わってしまう。各章も短い。章のほとんどが「~だと思う」とか「~かもしれない」などでしめられていて、推量の域を出ていないことも、消化不良の印象を余計に強めているように思いました。
民俗学ははっきりとした”枠”がない部分もあってそれがおもしろさでもあるので、この題材だけではいたし方ないのかもしれないけれど、まずはオイヌさまの話を最後まできちんと追って、そのあとにいろいろなほかの話に触れてもよかったのかも。純粋に「オオカミの護符」にまつわる部分を抜粋したら、本の厚さはかなり薄くなるはず。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
和ノンフィクション
- 感想投稿日 : 2012年2月28日
- 読了日 : 2012年2月28日
- 本棚登録日 : 2012年1月11日
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