短歌を読む(詠む)際に、如何にして「実感」が伴うようになるのかを探究していて、何より作者の問題意識がとても興味深かった。あとがきにもある通り、数年に渡って同じ問題意識で書き連ねた文章の集積であるため、この本の中で何かが解決している訳ではない。それ故、多少繰り返しも多いが、近代短歌を知らない私のような人間には、実作と共に丁寧に論じられていてありがたかったし、近代短歌に興味を持つきっかけにもなった。但し、実感の再現性の問題を追求した際に、歌の調べについて日本語の特性や曖昧な感覚論に陥っている面もある。音と印象に逃げている論考もある。個人的に一番面白く読めたのは、島田修二論と大口玲子論だった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
短歌
- 感想投稿日 : 2012年4月26日
- 読了日 : 2012年4月26日
- 本棚登録日 : 2012年2月2日
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