人生の謎について
サント=ブウヴが、こういう事をいっている。
「人生の謎とは一体何であろうか。それは次第に難しいものとなる、
齢をとればとる程複雑なものとして感じられて来る、そしていよいよ裸な
生き生きとしたものになって来る」
(中略)
人生の謎は、齢をとればとる程深まるものだ、とは何んと真実な思想であろうか。
僕は、人生をあれこれと思案するについて、人一倍の努力をして来たと
思っていないが、思案を中断した事もなかったと思っている
(中略)
併し謎は解けないままにいよいよ裸に、いよいよ生き生きと感じられてくるならば、
僕は他の何が要ろう。要らないものは、だんだんはっきりして来る。(p552)
ぼくは、世界を全く知らなかったときは、なにもかもわかっているように思っていた。
しかし、少し世界のことがわかると自分は全くもって何も知らないということがわかった。
日々人生の謎は深まるばかりだ。だけど、なにかもわかっているように思っていた時よりも人生というものを生き生きと感じられるようになっていたことに気づいた。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小林秀雄
- 感想投稿日 : 2011年9月20日
- 読了日 : 2011年9月20日
- 本棚登録日 : 2011年9月20日
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