ミーナの行進

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  • 中央公論新社 (2006年4月22日発売)
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朋子は中学1年生、家庭の事情で1年間神戸の伯母さんの家で暮らすことになる。
飲料メーカーの社長の伯父さんの洋館立ちの家には、伯母さん夫婦、いとこのミーナ、ドイツ人のおばあちゃん、家族のような米田さんと小林さん、そしてカバのポチ子が暮らしている。
時々ぜんそくの発作を起こすミーナ、いつの間にか姿を消す伯父さん、普通の家族とはちょっと違うけれど、それでも穏やかに、互いを気遣いながら静かに暮らす人々。
清涼飲料水を配達する青年や図書館の青年や、スイスに留学しているミーナの兄などが時折登場するだけで、極端に登場人物が少ない、そしてその3人の青年達はミーナ達に影響を与える青年達で、必要不可欠な人たちだ。
ほとんど家族だけ家庭内だけで話が進んでいく、特別に驚くような事件も起こらない、その分とても濃密といえるだろう。
1年が終わり、朋子が実家に戻ってから後の話が補足的につづられていて、その後はいろいろなことがあったんだな、とわかる。
だから何なんだ、といってしまえばお終いなのだが、朋子とミーナが過ごした1年間がたった1年間が、たまらなく愛おしくすばらしい時間であったということが読み手にもひしひしと伝わってくるのである。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ふっと手に取りました
感想投稿日 : 2015年8月19日
読了日 : 2015年8月19日
本棚登録日 : 2015年8月19日

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