霊力も法力も持たない主人公・湊が科学などからの着眼点を元に怪異を解決していくストーリー。霊力がないということで、術や特殊能力を使わないで、決まりや古いしきたりにとらわれずに物事を別の角度から見て解決策を導き出すのが面白い。
ただ、怪異の説明をしている途中で急に、科学的な発想が出てくるので、唐突な展開に「???」という気持ちにもなるので、正統派の陰陽師のお話が読みたい人にはお勧めできません。
ですが、毒舌まみれのテンポいい会話や物語がサクサクと進んでいくので、読みやすいとは思う。
主人公は霊力はまったくないということだけれど、それなのに「嫉」とどうやって対峙したのかとか、2話目の「血が…」というのが血液という意味なら確かに骨髄移植をすればいいのだろうけど(それでもたった数日で2人ともドナーが見つかって手術まで済ませられるのは強引)、血族やDNAという意味なら骨髄を変えたところで効果ないと思う、というようなツッコミもできる。科学を用いるのはいいけれど、それでも矛盾がそこそこあるのが微妙なところ。
あと、短編を2本まとめて一冊にしているのだから、最後の章は次の本にまとめた方がいいと思う。
読書状況:読み終わった
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作家名 は行
- 感想投稿日 : 2012年9月7日
- 読了日 : 2012年8月31日
- 本棚登録日 : 2012年9月7日
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