前作へと繋がるお話…なのだけれど、何というか、強引にこじつけた感じがしないでもない。
翔鳳は確かに朱桃に惹かれていただろうけど、国を放りだすほどの執着があったようには思えないし、あんな風に去っていかれた稜伽が哀れすぎる。そんな稜伽も人物像が前作と結びつかなくて同一人物として読みづらい。翔鳳に置いていかれたのがショックで性格が変わったというのもわからないではないけど、何か違う気がする。前作では翔鳳が国を放りだした理由がわからないと言っていたけれど、明らかに朱桃を追いかけるためだとわかる会話をしていて稜伽は呆れてもいるのに理由がわからないはずがない。
後から時間軸を遡る作品を書いた故のおかしな矛盾がちらほらあって気になる。
前作の最後の部分からすると、朱桃を探しだすのに5年もかかったようだけれど、そんなものなのだろうか。踊ることしかできない舞姫を、野宿も慣れている翔鳳が探すのにそんなに時間がかかるのか、とか疑問はつきない。
このシリーズでずっと気になっているのは、やたら蛮族だの王室の歴史だのを強調する文章が多い事。一巻目の話はそれでよかったと思うのだけれど、蛮族が興した国と言っても何十年と続いたわけだし、大国として成り立てばそれはもう蛮族とは呼ばれなくなるはず。第一に、そう蔑む綏だって王太后の祖父が興したというなら長くても100年程度しか続いていないはず。数十年は続いている閃に対してそんなに歴史だ由緒だと自慢できるほど長くもないと思うのだけれど。
読書状況:読み終わった
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作家名 ま行
- 感想投稿日 : 2013年3月5日
- 読了日 : 2013年1月22日
- 本棚登録日 : 2010年12月27日
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