村上春樹さんのエッセイって、引っかかりなくサラサラ読める…が良い方向に作用してて好んで読んでしまいます。
こちらはエッセイだけでなく、祝電や受賞の挨拶、インタビューなども収められていて楽しかった。
「ビリー・ホリデイの話」は物悲しい煌めきが素敵でした。エルサレム賞のスピーチはこれは伝説になるでしょうねと思ったし、スティーヴン・キング評が嬉しいです。「彼の考える恐怖の質は『絶望』」。
あとやっぱり「アンダーグラウンド」関連もの凄い。オウム真理教を始め、カルトにはまる人たちの心理を的確に掴んでると思うのは村上春樹さんだけな気がしています。最近の旧統一教会関連のニュースでもカルトにはまる心理とは…みたいなの目にするけれど、村上さんのこれらほどはどれもしっくりこない。「彼らの信奉する「教義(=物語)」にわれわれの「物語」が勝てない」みたいなのは、作家さんみたいなクリエイターはもちろん、宗教にはまる人たちを連れ戻せないこちら側の事でもありました。カルトは失くならないからなぁ、宗教以外でも。「アンダーグラウンド」を読んだときも似たようなこと思ってる気がします。
小説は未だに「世界の終わり」が唯一好きなのだけれど、エッセイと翻訳は良いと思っています。声はプラチナ、字はカリントウ…確かに美声ですよね。
ラストの対談、もう安西水丸さんも和田誠さんも居ないんだ…と思ってかなり悲しくなりました。和気あいあいと話されてるのが余計に。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
エッセイ
- 感想投稿日 : 2023年2月26日
- 読了日 : 2023年2月26日
- 本棚登録日 : 2021年7月22日
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