小野和子さんが、宮城の語り部たちからはなしを聞くドキュメンタリー映画を観た。「あいたくてききたくて旅にでる」を読み始めたら、小野和子さんの姿が私の脳裏に浮かび、その声が聞こえてくるようだった。賢く、辛抱強く、温かく、優しく。
見知らぬ者がいきなり訪ねて来て、昔話を語ってくださいと頼んでも、不審がられるし、せっつかれても語れるものではない。昔話ではないのだが、厳しかった暮らしを思い出しては泣き、口にすることも憚られるようでありながら、とつとつと語られ始めた体験談は、その人の生きてきた歴史の中で、いつか熟成されて物語のようになって、はじめにむがすむがすとついたなら、昔話のように聞こえてくるだろう。 かのさんの語った、犬ころのカロの話は何とも胸が締め付けられた。
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- 感想投稿日 : 2023年2月3日
- 本棚登録日 : 2023年2月1日
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