犬と鬼-知られざる日本の肖像-

  • 講談社 (2002年4月25日発売)
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本棚登録 : 299
感想 : 31
5

1度決めたことは、何があっても後戻りできない。一番の成功者は、たとえその成功を後押しした環境や状況が変化しても、その成功体験を捨てられず、次代における敗者となる。劇的な破滅はないだろうが、ぬるま湯の中で、静かにゆでガエルになるのを待つ状況。「実」から目をそらし続け、本質から逃れようともがく国。
日本とは本当に、そんなに救いようのない国なのか。実感として、この社会に対する生きにくさや、文化や歴史を忘れた風景、全てを子ども扱いし、平等に情けなく扱いたがる現代の空気に絶望感を感じていた時に、叔父から借りた本。
自分一人でこの状況を変えることなどできるわけもないが、せめて自分と周りの人たちには良い影響を与え、くだらない不幸と不満の牽制の輪から逃れることはできるのではないか?そのためには今何ができるのか?
世界を見ること。語学を学び、日本以外の情報を得ること。社会で少しでも上に行き、負の遺産を潰すこと。とりあえず他国よりマシ、と信じられているものの真実を探り、ただすべきをただしていく一助となること。
著者の視点はあまりにネガティブにすぎるところもあるかもしれないが、冷静に耳を傾けるべき点は多い。
もちろん、他国も日本とは違う多くの問題を抱えてはいるだろうし、その解決に苦心しているのも同じだろうと思う。だとすると、日本人としてできることは、日本としてのオリジナルの未来を見つけること。
あまりに色々考えさせてくれる本なので、自分で買って、再読したいと感じた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ライフスタイル
感想投稿日 : 2013年8月4日
読了日 : 2013年8月4日
本棚登録日 : 2012年7月22日

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