話虫干

著者 :
  • 筑摩書房 (2012年6月7日発売)
3.19
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本棚登録 : 674
感想 : 148
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大好きな物語の世界で生きてみたいとか、この人達に会ってみたいとか、考えてしまうことがある。
結末に納得いかないなと思うこともある。
だから愛する物語の中に入って好き放題してしまう「話虫」の気持ちも分かる気がする。

でも、もし何もかもが大好きな物語の結末を勝手に変えられてしまったら?
想像しただけで怒りがこみ上げてくる。
そんな虫は潰してしまうことでしょう。

夏目漱石の『こころ』の結末を元に戻すために奮闘するのは馬場横町市立図書館の司書。
こんな仕事までこなすなんて、司書ってなんてすごい仕事なのか!
どうか何処かの図書館では実際に「話虫干」をしていますように。

なんでもアリになってしまっている『こころ』の世界。
あんな人やそんな人が登場してとっても賑やか。
これはもう絶対元通りにはならないと思ったのだけど…。
いろいろ登場させた人達の存在意義が少し希薄?とか、物語の戻し方についてはすっきりしないところもある。
だけど友情物語としてはとっても素敵だと思う。
それと物語の中の人達の行間のあれこれに思いを馳せるのは自由なんだと自信を持てたことも収穫。
いや、もうとっくに妄想してましたけどね…。
本の中に入り込まなくても、私の中にその物語は生きていてずっと続いています!と言えるくらい愛したいな。
そんな風に思った。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2013年8月4日
読了日 : 2013年8月4日
本棚登録日 : 2013年8月4日

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