虹の歯ブラシ 上木らいち発散 (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社 (2015年2月5日発売)
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感想 : 40
4

 前代未聞のタイトル当てに続く、早坂吝さんの第2作。前作は、断固傑作とは呼ぶまいと思ったが、ツボにはまった面も否定できず、またしても出来心で読んでみたが…。

 レジに持っていくのを一瞬ためらう装丁。「史上最もHな探偵」って…援交している女子高生かよっ! その探偵・上木らいちは、曜日毎に固定客を抱えているという。……。

 7編の短編から構成されるが、最後にオチがあるのだろうと察せられる。まずは「紫」。最初からAV撮影のような事件現場で、かっとばしてくれる。トリックもばかばかしいが、一応筋が通っているのが何ともはや。背景には男の悲哀があったりして…。

 「藍」。ラブホテルでの殺人。何だよ現場が普通じゃないかと思ったら、そのようなどんでん返しが…。僕には理解できない世界とだけ書いておきましょう。ある議論は、普段何気なくやっていると気づかず、興味深い。でも、どうしてそこまで想像できる?

 「青」。犯人はともかく…わかるかこんなもーん!!! 物々しいオープニンングなのにこのオチ。「緑」。うーむ、人の嗜好は十人十色ですな…。というか、ミステリー的な仕掛けもちゃんと施してあるのが腹立たしい。どこかで読んだぞ、このネタ。

 「黄」。イケメンをあっさり袖にするらいち。イケメンかどうかなど興味なし。1人5万円。ある意味公平だ。プライドを傷つけられた彼は…。相手が悪すぎたね。わずか4pの「橙」。唯一、単独で読んでも意味不明。一応伏線だったことは最後にわかるのだが…。

 いよいよ最後の「赤」。謎めいた上木らいちの正体は? 結局がどれが本当やねんとか、もはやどうでもいい。だんだん呆れてきたぞ。そんな雑学まで駆使したところで、おおっ! なんて思わないっての。今回も酷い作品だったわ。

 2作目を間を空けず出したのは正解と言える。前作と比較して文章もこなれていて、その点は驚いた。この人は計算高い。前作はわざと下手くそに書いたのかもしれない。でもね、どうせならお下劣さを極めてはどうか。3作目が出たら買っちゃいそうだ。

 こんなもん、アラビア語圏で出版できないだろっ!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 早坂 吝
感想投稿日 : 2015年2月20日
読了日 : 2015年2月20日
本棚登録日 : 2015年2月20日

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