下流志向──学ばない子どもたち、働かない若者たち

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  • 講談社 (2007年1月31日発売)
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・子どもは学習の主権的で自由な主体であるのではありません。
まず学びがあり、その運動に巻き込まれているうちに、「学びの運動に巻き込まれつつあるものとしての主体」という仕方で事後的に学びの主体は成立してくる。私たちは自らの意思で、自己決定によって学びのうちに進むわけではありません。私たちはそのつどすでに学びに対して遅れています。
〜「学びからの逃走」

・二十歳の学生の手持ちの度量衡をもってしては計量できないものが世の中には無限に存在します。彼は喩えて言えば、愛用の30センチの「ものさし」で世の中のすべてのものを測ろうとしている子どもに似ています。そのものさしでは測れないもの、例えば重さとか光量とか弾力といったことの意味を「ものさし」しか持たず、それだけで世界のすべてが計量できると信じている子どもにどうやって教えることができるでしょう。
〜「学びからの逃走」

・「自己決定フェティズム」というのは、
「自己決定すること」が国策として推奨され、イデオロギーとして子どもたちに他律的に注入されているという事態。
「みんな自己決定する時代なんだから、君もみんなと同じように自己決定しなさい」という命令のありようそのものが論理的に破綻しているのに、
子どもたちは( 子どもだから )気がつかない。選択を強制されていながら、選択したことの責任は自分でかぶることを強いられている。これはどう考えても不条理だ。
〜「労働からの逃走」

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感想投稿日 : 2022年4月30日
本棚登録日 : 2022年2月25日

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