戦争とは何か、哲学的・歴史的な観点から丁寧に説く一冊。ウェストファリア体制が確立し、その後なナポレオン戦争後に国民戦争となった戦争。それが意図せずに起きた一度めの「世界戦争」、わかってて起きた二度めの「世界戦争」、核によって起こさなかった三度めの「世界戦争」。3つの世界戦争後には国家間の取り決めなどである種の制限があった戦争が、対テロ戦争というある意味無制限の暴力の行使が可能になり日常が潜在的な戦場になる新しい戦争形態が現れてしまった。
著者の見方でハッとさせられたのは近代日本の軍はヨーロッパの国民軍と違って義勇軍といった形から産まれたのではなかったために主権者として自発的に戦う兵士であったことがなかったこと。イスラーム国と「美しい国」は本質において何も変わらないのではないのかということ。西洋諸国に対テロ戦争という常軌を逸した戦争を始めさせたのはコナトゥスなき存在への恐れではないかという指摘も。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
軍事
- 感想投稿日 : 2017年7月28日
- 読了日 : 2017年7月28日
- 本棚登録日 : 2017年7月28日
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