弱いつながり 検索ワードを探す旅

著者 :
  • 幻冬舎 (2014年7月24日発売)
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本棚登録 : 1888
感想 : 218
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いかに「私」の向こう側にいくのか、についての本だった。そしてそれは、新たな欲望を手に入れること。村人でなく旅人でもなく、観光者としての旅が、身体と環境を変えることで、検索ワードを変える。検索ワードを変えるということは、欲望と、思考と、行動を変えることだ。それは環境が変わったからであり、それは人間が環境に規定される存在だからだ。
モノを見に行くことが新たな欲望を作る。偶然として作る。しかし人は新たな環境に行くことに抵抗をもつ、ホメオスタシスによって。だから観光客。無責任な気軽さ。偶然に対する気軽さ。
言葉とモノの話も面白かった。言葉は脱構築できる、いくらでもメタ的にできる、故に言葉だけでは共通了解を作れない。わかりあえない。モノが、目に見えるものが、そこから感じる生々しい「憐れみ」こそが、すなわち意識の外部性、我々が恣意的に改変不能な、訪れるもの、彼岸のものこそが、我々を分かりあいの可能性に開く。

結論
気楽に気軽に、観光客として、旅に出よう、偶然性に身を晒そう。そうして、自分の目で見て、経験して、欲望を変えよう。新たな欲望に出会えることは、新たな自分を作ることであり、分かり合える他者を増やすことであり、人生を豊かにすることだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2019年10月21日
読了日 : 2019年10月21日
本棚登録日 : 2019年10月21日

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